任意売却物語

さまざまな任売の体験談を集めました。

Kさんは43歳、雑貨の輸出・輸入を行う事業をおこして早くも5年が経過し、当時の輸入雑貨のブームのおかげで小さくても経営的には潤っていました。Kさんの奥さんは何と元モデル出身の美女、子供には恵まれなかったものの何一つ不自由の無い生活で老後の生活も安泰かと思われるほどでした。

しかし実はKさんの奥さんには大きな悩みがありました。本来は子供を3人は産んでいつも笑い声の絶えない家庭を築くことに憧れていた奥さんもすでに40歳、ご主人であるKさんとともに人工授精などあらゆる不妊症の治療を試みましたがいずれも結果は失敗に終わり、深く悲嘆していたのです。しかも最後に受けた検査の結果が決定的な打撃となりました。長期間に渡る不妊治療にも関わらず子宝に恵まれなかった原因は、実は奥さんではなくKさん側にあったのです。Kさんは無精子症と呼ばれる珍しい病気の1つで、妊娠するための精子の数が通常の人よりもはるかに少なかったのです。このことが判明して以来、夫婦間には深い溝ができてしまいました。やがて口喧嘩が耐えなくなり、最後には奥さんは実家に帰ってしまいました。

その後不況のあおりやブームが去ったことが原因でKさんの会社の経営は急速に悪化し、毎月赤字の連続で生活も立ち行かなくなるほどでした。一時はかなりの貯金もあったのですが長年に渡る不妊治療でほとんど使い果たし、気がつけば住宅ローンも滞納となっており、債権者からは昼夜を問わぬ督促を受けるようになっていました。もはや打つ手も無く観念したKさんは任意売却を専門で扱っている業者に相談をしました。負債額はそれほど大きなものではなかったのですが、一番やっかいだったのが実家に帰ってしまって別居状態となっている奥さんとの話し合いでした。最初は顔も合わせたくないと突っぱねられ、取りつく島も無いほどでしたが任意売却の業者が間に入ることで何とか会話の場を持つことが可能となり、最終的には奥さんも任意売却を受け入れました。任意売却を行う業者の業務にはこうしたことまでも含まれているのかとKさんは身をもって知らされる思いでした。