任意売却物語

さまざまな任売の体験談を集めました。

Fさんのご主人は12年前にガンを発病、2年間もの間苦しみ抜いて亡くなりました。Fさんは2人残された子供たちの学費や生活費を稼ぐために昼はスーパーのレジ打ちをして働き、また夜は深夜営業のマッサージ店の受付のパートをし、死にものぐるいで奮闘しました。ところが長男が公立の大学の受験に失敗、結局私立の大学に入学することになり、そのころから何とか支えてきた家計が大きくバランスを崩すようになってきました。しかもその半年後には大切な収入源であったマッサージ店が廃業することになり、Fさんは他のパートを捜しましたが50歳をとうに超えたFさんを雇ってくれるパート先は皆無でした。その後も苦境のことは2人の子供には隠したまま、なんとか切り盛りしていましたがついに2ヶ月前から住宅ローンが焦げ付いて任意売却を考えるようになりました。

債権者である銀行などからは毎日のように督促状が届き、電話がかかります。ここにいたって子供たちも我が家の危機に気がついたようです。先にこの件について話を切り出したのは息子の方でした。「お金がないんだろ。僕が大学止めて働くよ」Fさんは、内情が子供たちに知られてむしろ気が軽くなりましたが、大学を中退すると言う息子の意見には大反対しました。そんなことをされてはこれまで寝る時間も惜しんで頑張ってきた自分の10年間が無意味になると思ったのです。

Fさんは息子のパソコンを使って情報を集めた上で任意売却と言う方法があることを知りました。長年住んできた家を競売などで取られてしまうのは我慢できません。自分は屈辱に耐えても息子の就職の際に影響が出るかもしれない、Fさんはそう思ったのです。たまの休みの日を利用してFさんはネットで見つけた任意売却の専門業者を訪れました。一通り話を聞いた業者の人は「それはお気の毒に、でも今なら任意売却で高値で処分することが可能ですよ」とFさんに言いました。

実際の任意売却では債権者が3者あったので交渉は難航することが予想されました。ところが任意売却の業者の腕が良かったのか、ほとんど大きな障害も無く任意売却が完了しました。Fさんの長男は来年大学を卒業します。